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富士山‐信仰の対象と芸術の源泉 - コラム -

富士修験の8つの霊場

透き通る神秘の泉「忍野八海」の伝説

「忍野八海」は、富士山の雪解け水が約20年かけてろ過されて湧き出ている8つの湧水池のことです。1934年に国の天然記念物に指定、1985年には環境庁から全国名水百選にも選定され、1993年には県富岳百景選定地にも指定されました。そして、「富士山域を背景とした、複数の湧水および河川から成る風致の優れた水景が展開している」「富士山を水源とする地下・地上の豊かな水系が広がっている」「富士山信仰および農村の生活・生業と結び付き、周辺の土地利用と一体となって有機的な進化を遂げてきた」の3つの要素から、2013年には「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産として世界文化遺産に登録されました。

江戸時代の末期、1843年の天保の飢饉で飢餓に苦しむ忍野の人々を救うために、富士講の指導者をしていた長百姓の大寄友右衛門が、湧水地の中から、北極星と北斗七星の形になるように8つの池を選び、それぞれの池に守り神として八大竜王を祀り再興しました。そして、一番霊場の出口池から八番霊場の菖蒲池までの巡礼路が整備されました。

「忍野八海」は、昔から「神の泉」と崇められ、富士信仰の方たちにとっての禊を行う場でした。その忍野八海のそれぞれの池には名前の由来となる「伝説」があるのをご存知でしょうか。そしてどの池にも石碑が立てられており、歌が刻まれています。今回はその伝説と歌をいくつかご紹介したいと思います。

一番霊場は、出口池です。そして、御釜池、底抜池、銚子池、湧池と霊場が続きます。湧池は、八海で最大の湧水量で、飲用水としても利用されているそうです。


濁池 濁池 「濁池」写真提供:忍野村観光協会
六番霊場である濁池は、もとは澄んだ水を湛えた池で村人の飲み水となっていました。ところがある日、乞食のような行者がやって来て、この池の地主の軒先に立ち、一杯の水を求めました。その家の老婆がみずぼらしい身なりを見て無愛想に断ったとたん、この池は急に濁ってしまったという伝説があるそうです。その伝説から、濁池と呼ばれています。濁池には、阿那婆達多竜王(あなばたつだりゅうおう)を奉り、石碑には「ひれならす竜の都のありさまをくみてしれとやにごる池水」と和歌が刻まれています。

次に、七番霊場、鏡池をご紹介します。鏡池の水は濁って見えますが、運がよければ、水面に逆さ富士の姿がはっきり映るので、この名がつけられました。この鏡池の水は、すべての事における善悪を見分ける霊力があるといわれるそうです。部落内に何か揉め事が起きた時に、事をまるく治めるため、争っている双方が池の水を浴びて、身を清めて祈願したそうです。鏡池には、麻那斯竜王(まなしりゅうおう)を奉り、石碑には「そこすみてのどけき池はこれぞこのしろたへの雪のしづくなるらん」と和歌が刻まれています。


菖蒲池 菖蒲池 「菖蒲池」写真提供:忍野村観光協会

最後にご紹介する菖蒲池は八番霊場です。菖蒲池の菖蒲を身体に巻くと病気が治るといわれています。昔、この池の近くに仲のよい若夫婦が住んで居ましたが、不幸にも夫が肺病にかかってしまい、妻はできるだけの力を尽くして食事や薬の世話をしましたが、夫の病は重くなるばかりだったそうです。妻はもう神仏に助けを求めるしかないと考え、この池の水を浴びて身を清め、一心不乱に祈願しました。そうすると、ちょうど37日目に「池の菖蒲をとって夫の身に巻けば、夫を苦しめている病魔は必ず退散する」という神のお告げがあったそうです。妻はお告げのとおりにすると、夫の病も日増しに良くなり、起きて出歩くようになり、一ヶ月たたないうちに回復したといわれているそうです。菖蒲池には、優鉢羅竜王(うはつらりゅうおう)を奉り、石碑には、「あやめ草名におふ池はくもりなきさつきの鏡みるここちなり」と和歌が刻まれています。

音声ガイドでは、忍野八海にあるその他の5つ池についてもご紹介しております。ぜひ、アプリとブックをダウンロードして、神秘的な湧水池を訪ねてみてください。

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