古都奈良の文化財 コラム 古都奈良の文化財 コラム

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特 集
「奈良公園」の鹿伝説と

鹿せんべいの謎に迫る

奈良といえば鹿。そして鹿せんべい。ではなぜ「奈良公園」に多くの鹿が生息しているのでしょうか? そこで今回は、奈良の鹿伝説と鹿せんべいの謎に迫ります。

「奈良公園」と鹿の豆知識

奈良のシカ 奈良のシカ
「奈良公園」に生息する「奈良のシカ」は、国の天然記念物に指定されている
660ヘクタールの広大な敷地にまたがる「奈良公園」は、世界遺産に登録されている「東大寺」「興福寺」「春日大社」、そしてそれらの歴史的建造物保存のための文化施設「国立博物館」「正倉院」などと、これらをとりまく豊かな緑が調和する歴史公園です。
この「奈良公園」に生息する鹿は、現在約1200頭が確認されています。なぜ頭数がわかるのか。それは「奈良の鹿愛護会」が年に一度、生息頭数調査を行っているため。早朝まだ鹿たちが行動を開始する前に、雄と雌、子鹿の頭数を2日間かけて調べるのだとか。
また「奈良の鹿愛護会」は、天然記念物「奈良のシカ」の保護育成、調査研究のほか、「鹿の角きり」など伝統行事の継承も担っています。

「奈良のシカ」は神の使い?

ニホンジカの亜種 ニホンジカの亜種
古くは神鹿(しんろく)として崇められた鹿は、ニホンジカの亜種で雄のみが角を持っている
「奈良のシカ」は、『万葉集』にも詠まれるほど歴史が古く、その頃春日野周辺には野生の鹿が生息し、狩猟の対象となっていたといわれています。しかし平安時代に入り、神護景雲2(768)年、称徳天皇の時代に「鹿島明神」が白鹿に乗って御蓋山(春日山)に入山したという伝説が広まり、神鹿(しんろく)として崇められるようになったようです(所説あり)。
その後、大和を支配した為政者も神鹿として殺生を禁止。元禄元年(1703)には約1000頭が生息していたと推定されています。それから長いときを経て、明治維新の混乱期の廃仏毀釈の影響と、第二次世界大戦の影響などにより、生息数が激減した時期があったものの、昭和32(1957)年に国の天然記念物に指定され、奈良市一円が保護地域とされたことで徐々に数を戻してきたのです。

「奈良公園」にごみ箱がない理由

鹿せんべい 鹿せんべい
「鹿せんべい」は「奈良公園」のあちこちで販売されている。一束(10枚)150円
「奈良公園」にはどこにもごみ箱が設置されていません。それはなぜでしょう?
 「奈良公園」の鹿たちは「鹿せんべい」だけを食べているわけではなく、普段は公園の芝や木の実、木の葉などを主食としています。つまり基本的に草食の動物なので、人間の食べ物を与えてしまうとおなかを壊す原因に。そしてビニール袋などのごみをエサと勘違いして誤飲してしまうこともあります。
ですから鹿の誤飲事故を防ぐため、ごみは各自で持ち帰ることを推奨。ごみ箱がないというわけなのです。

鹿にやさしい「鹿せんべい」

指定業者の「鹿せんべい」 指定業者の「鹿せんべい」
「奈良公園」で販売されているのは、鹿にやさしい材料を使った、指定業者の「鹿せんべい」のみ
「奈良公園」で販売されている「鹿せんべい」を製造する業者は奈良市内に5社あり、そのうちの1軒「武田商店」でお話を伺いました。「武田商店」の御主人は3代目。なぜ「鹿せんべい」は指定業者しか製造販売ができないのかなどの詳細は不明とのことですが、お店には初代店主が大正6(1917)年に「春日大社」より授かった覚書(許可証)が残されていました。
さてこの「鹿せんべい」、鹿にやさしい材料のみで作られています。「鹿せんべい」の材料は米ぬかと小麦粉。そして「鹿せんべい」を束ねる帯封は「奈良公園」専用で、鹿が食べても消化しやすく害のない素材(パルプ100%)を使用。さらに帯封に印刷する塗料は大豆が原料で、帯封をくっつける糊は小麦粉を練ったものなのだそう。
「鹿せんべい」は、天然記念物「奈良のシカ」を守るためのこだわりと愛でできている、といっても大げさではないかもしれません。
撮影/海老名進 取材・文/立花奈緒(ブレーンシップ)
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