白川郷・五箇山の合掌造り集落 コラム 白川郷・五箇山の合掌造り集落 コラム

白川郷・五箇山の合掌造り集落 - コラム -

バイオの力で自然を活用

合掌家屋に暮らす人々の生活と環境との関わりあい

 合掌家屋に暮らす人々の生活と環境との関わりあい  合掌家屋に暮らす人々の生活と環境との関わりあい 写真提供:岐阜県白川村役場

豪雪地帯の山間部に位置する、白川郷と五箇山は、厳しい自然と共存しながら懸命に生きてきた人々の知恵がたくさんあります。
人と環境の関わりあいが人類共通の課題となっている現代の私達にとって、未来を生きるためのヒントがここにあるかも知れません。

今回は合掌家屋に暮らす人々の生活と環境との関わりあいをご紹介します。

合掌造りとは、その名の通り、神仏を拝むときに左右の手のひらをあわせる「合掌」の形が、とがった屋根の形に似ていることから名づけられた、という通説がありますが、ユネスコに推薦する際の合掌造りの説明は、「小屋内を積極的に利用するために、叉首(さす)構造の切妻造り屋根とした茅葺きの家屋」と記載されました。
叉首構造とは、屋根の骨組みの最上部にある2本の棟木の丸太が、漢字の「人」のように寄りかかるように交差して、梁の両端に「差し込んだ構造」です。 切妻造り屋根は、本を半開きにして伏せたような構成の屋根のこと。この屋根組みには釘は1本も使われず、藁の縄や「ねそ(マンサク)」と呼ばれる植物の繊維で固定され、適度な柔軟性により力が分散されて雪の重みに耐えられる工夫がされています。

合掌家屋の特長と言えば「茅葺き屋根」です。茅を約1mもの厚さにまで何層も重ねることによって、雨が降っても濡れるのは表面から20センチほどだそうです。また、屋根の急勾配によって速やかに排水されるため、雨漏りもしません。この急勾配の屋根傾斜は、水捌けだけでなく、豪雪による雪下ろしの作業の軽減、仕事の作業場として広い屋根裏の空間確保も目的としていました。
また、茅葺きは、断熱性が高く寒さに強い、吸音性が高く雨音が響かない、吸湿性と通気性が適度に保たれ快適である等、様々な機能も備えていました。合掌造りの家の窓にも工夫があり、どれも同じ方向を向いています。屋根に満遍なく日光が当たるように、そして南北の風通しが計算された作りとなっており、季節の変化に対応し、養蚕のために環境を整備していました。

大きな弱点としては、火に弱いことです。この一帯は山林が集落に迫る急な傾斜に取り囲まれた地形で、昔の建物は木造がほとんどでしたから、過去に大きな火災を何度も経験しました。現在でも、保存地域には、火災時に水のカーテンを作って類焼を防ぐための防火設備「放水銃」があり、村の何箇所かに設置されています。毎年、秋には、一斉放水の訓練が行われ、とても高くまで上がる水しぶきと合掌造りの景色は美しく、写真が絵葉書にもなるほどです。


写真提供:南砺市交流観光まちづくり課

また、同じように見える合掌造りでも、白川郷と五箇山では微妙に違いがあります。五箇山の雪は重い為、五箇山の屋根の方が白川郷よりも傾斜が少し急で、屋根の茅葺きの端が少し「丸く」刈られています。比べて白川郷では、きっちり揃えて作られています。
合掌造りが多く造られた江戸時代末期の白川郷は、幕府の天領地でした。一方、五箇山は加賀藩が治めていた土地です。
この茅葺きの刈り方の違いについて、地元の方は、「白川郷は武士の力強さ、五箇山は加賀藩のたおやかさが表れている」と話しているそうです。

そのような時代背景の中、発展した産業がありました。加賀藩の統治下にあった五箇山には、秘密の「火薬工場」があったのです。
戦に用いられる鉄砲の火薬の原料に、煙硝というものがあります。その煙硝の産地として、「煙」には「塩」の字を用いて「塩硝」とし、秘密裏に16世紀半ばから明治時代まで生産していました。
塩硝を作る材料と条件に富んでいた五箇山は、奥深い山間部で人目につかず塩硝の製造が可能なことから「隠れ里」として加賀藩を支え、地形も気候も稲作に不向きな土地だったため、屋内での「養蚕」や「紙漉き」、「塩硝作り」などの家内制手工業が重要な産業となりました。
日本では古来より、民家の囲炉裏下には自然と塩硝が製造されていたそうです。なかでも五箇山では、自然の草(ヨモギ・麻殻・ヒエ殻など)と養蚕業の蚕の糞などを利用する「培養法」という、バイオの力を借りる製造法によって、より多くの塩硝を製造しました。
「五箇山民俗館」の向かいにある「塩硝の館」では、材料の採取、塩硝作り、出荷におけるまでの過程を人形や影絵で紹介しています。

このように、今から数百年も前に、自然の循環を利用したエコロジーハウスを実現していたとは、先人達の生きる知恵には脱帽というしかありません。
音声ガイドでは、白川郷・五箇山の見どころに加え、合掌造りの白川郷の「明善寺の放水銃」や五箇山の「塩硝の館」をご紹介しています。ぜひ、アプリとブックをダウンロードしてお試し下さい。

世界遺産巡りのパートナーに!
SkyDesk Media Trek
世界遺産音声ガイド
アプリをダウンロードして試してみよう!
  

※Apple および Apple ロゴは米国その他の国で登録された Apple Inc. の商標です。App Store は Apple Inc. のサービスマークです。
※Android、Google Play、Google Play ロゴは、Google Inc. の商標です。

MENU